災害時の支援

社会福祉協議会の行う災害支援 ~災害ボランティアセンター~

ボランティアと被災者をつなぐ災害ボランティアセンター

1995年の阪神・淡路大震災は、発災時から1年間で約137万人のボランティア(兵庫県推計)が活動し、「ボランティア元年」と呼ばれました。その後の大規模災害発生時には、多くのボランティアが被災地での支援活動に参加するようになっていきました。被災地では、土砂の流入などにより生活の場としての機能を失った住宅の片付けや避難している人の生活支援、その後の生活再建など、被災者に寄り添う活動がボランティアによって行われるようになりました。災害ボランティアセンターは、こうしたボランティアの活動を被災者や被災地につなげるセンターとしてその取り組みを充実させながら確立されていきました。

2004年の新潟県中越地震のボランティアによる支援の振り返りを契機として、被災地の市区町村社会福祉協議会が中心となって災害ボランティアセンターを設置し、住民・NPO・企業などの多者の協働により運営されるスタイルが一般的になっていきました。こうして、2011年に発生した東日本大震災では、全国で196か所の災害ボランティアセンターが社協を中心として設置され、被災地支援活動が展開されました。

2019年台風19号災害により設けられた災害ボランティアセンターの様子

2019年台風19号災害により設けられた災害ボランティアセンターの様子(栃木県 那須烏山市災害ボランティアセンター)

災害ボランティアセンターの三原則「被災者中心」「地元主体」「協働」

災害時のボランティア活動は、被災家庭の掃除や災害ゴミの撤去などの活動が注目されますが、活動の本来の目的は、清掃等により生活の基盤となる住環境を回復し、被災した人の生活を回復することにあります。この目的のために、災害ボランティアセンターは、生活支援という福祉の視点をもちながら、被災者に寄り添い、日々の生活支援と生活再建に向けた困りごと(ニーズ)の解決に、ボランティア・NPO、行政や関係機関・団体と協働しながら取り組みを行っています。

こうした考え方を表しているものが、「被災者中心」「地元主体」「協働」という災害ボランティアセンターの設置・運営の三原則です。

災害ボランティアセンターの設置・運営の費用、社会福祉協議会の自己財源のほか、自治体による補助金や委託費、市民や企業からの寄付金などさまざまな財源が使われていますが、こうした考え方が公助(行政の行う救助活動)と共助(ボランティア等による支援活動)をつなぐ取り組みとして認められ、2020年には災害ボランティアセンターの運営費の一部に国費(災害救助費)が活用できるようになりました。

なお、被災者や被災地を支援する民間財源として、赤い羽根共同募金の「災害等準備金」が活用されています。

ボランティアへのオリエンテーション、活動マッチングの様子

ボランティアへのオリエンテーション、活動マッチングの様子(2017年九州北部豪雨災害 朝倉市災害ボランティアセンター)

災害ボランティアセンターの活動

・被災状況の把握

・ボランティアの受け入れ・活動調整

・ボランティアの募集
・ボランティア活動のマネジメント(受付、オリエンテーション、マッチング、活動中の安全・健康管理等)
・活動用資器材の調達・管理
・災害VC運営体制の整備(運営スタッフ、コーディネーターの調整)

・被災者の状況把握と寄り添った支援

・被災者のニーズ受付・困り事相談、ニーズ調査など
・被災者ニーズへの対応、専門機関や被災者支援制度への仲介
・被災者・地域の生活の復旧、復興を視野に入れた支援活動

・関係機関との調整、情報発信、運営

・自治体、町内会など住民組織との連携・協働
・活動に拠点などの調整
・行政等、関係機関などとの連絡調整、情報共有
・広報(被災者への情報提供、ボランティア、NPO、企業等の支援者への情報発信)
・支援活動プログラムの開発・実施
・活動状況の記録・公開
・活動資金の調整・調達
・苦情対応
・事務作業

社会福祉協議会と災害ボランティアセンター

社会福祉協議会は、全国すべての都道府県・市区町村にあり、平時から地域の様々な関係機関・団体とのネットワークを有し、日常的に住民と接しています。そのため、地域に根ざした組織として、災害発災直後から迅速に活動を行うことができるという他の組織にはない特徴があります。

災害ボランティアセンターは、社会福祉協議会の行うべき事業とされているものではありませんが、これまでの災害時の取り組みにより、現在、多くの市区町村で行政が策定する地域防災計画に災害ボランティアセンターが位置付けられ、発災時の災害ボランティアセンター設置・運営を社会福祉協議会が行うことが明記されるようになってきています。また、災害ボランティアセンターの設置・運営に関して、多くの行政と社会福祉協議会が協定を締結するようになっています。

社会福祉協議会は、災害時において迅速かつ効果的に被災者支援が行えるように、平時から関係者と連携・協働した防災の取り組みをすすめています。

なお、災害時の支援活動が終了し、災害ボランティアセンターが閉所した後も、社会福祉協議会の目的である「地域福祉の推進」(社会福祉法)をすすめる団体として、社会福祉協議会の通常業務として(被災した)住民に寄り添い生活再建の支援を継続します。

社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置・運営する理由

・地域を基礎に活動している

・日常的に住民と接している(地縁組織と顔の見える関係がある)
・センター閉所後も、社協の本来的機能として、被災者の生活支援、被災地の復興支援にあたる(生活支援相談員による支援など)

・地域福祉を推進する団体としての機能・事業がある

・ほとんどの社協は平時から「ボランティアセンター」機能を有する
・福祉の相談機関・福祉サービス事業者として要援護者を把握している
・社協の使命として、地域の生活課題を把握し、解決する機能を有している
・行政や幅広い機関・団体との関係を構築している
・民間団体としての機動力がある

・全国的なネットワークを有する組織である

・すべての自治体に存在する
・全国的なネットワークを有している 等

災害時の福祉支援活動の強化をめざして

社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターの取り組みをはじめ、高齢者や障害者などの避難行動や避難生活の支援、被災者への生活福祉資金の貸付、一般避難所の避難者に福祉的観点から相談支援を行う「災害派遣福祉チーム」(DWAT)の活動などに取り組んでいます。

全国社会福祉協議会では、これらの災害時福祉支援活動の強化をめざして、福祉的支援の拠点としての「災害福祉支援センター(仮称)」を都道府県・全国に設置する必要性について提言しています。

2020年7月豪雨災害で設置された災害ボランティアセンター

2020年7月豪雨災害で設置された災害ボランティアセンター(熊本県 人吉市災害ボランティアセンター)

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